路面電車の思案橋電停、道路をはさんだ両側に橋の欄干を模した思案橋跡の碑が建てられています。この付近にはかつて川が流れ、花街時代、遊廓へ“行こか戻ろか”と思案したので名付けられたという思案橋が架かっていました。
その橋を渡り、花街の入口・大門(二重門)があった場所の手前に、明治時代に植えられたといわれる1本の柳の木があります。カステラの老舗店の右手、小道の入口にある電柱横に今もひっそりと立っています。花街へと足を運んだ人々は、ここで振り返り丸山遊女との別れを惜しんだのでしょう。この柳には、当時の情景が思い描けるような“見返り柳”というロマンチックな名前が付いています。後ろ髪を引かれる思いを抱きつつ、この柳のあたりで振り返ったという人々の切ない思いが今もなお語り継がれています。