スコットランド出身の貿易商人トーマス・ブレーク・グラバーが1868(慶応4)年に建てた洋式の別邸です。グラバー氏は明治初期にかつて高島本島とは離れた小島だったこの地に橋を架け高島炭鉱開発に従事し、この別邸を炭鉱経営の拠点としていました。ここから長崎の南山手の自宅との間に電話線を引いたのが、わが国初の私設電話と言われています。
現在はグラバー氏の銅像と解説板のほか三角屋根の展望所が設置されており、周囲には建物の基礎石や井戸跡などを見ることができます。かつて船をつけた船着場までは散策路を通って下りることができます。
幕末から明治にかけて日本で大きな功績を残したグラバー氏。松林に囲まれたこの静かな別邸から海を眺めながら日本の近代化について大きな夢や期待に胸をふくらませていたことでしょう。