花月は1642年、長崎の丸山遊郭の老舗であった引田屋(ひけたや)の庭園内に、茶屋として造られたのが始まりです。
大正末年、引田屋は廃業しましたが、花月の名称と引田屋の庭園、建物は現在に伝承され、1960年には長崎県の史跡に指定され、全国的に珍しい史跡料亭となりました。
丸山は幕末から明治の激動の時代に活躍した国際人の社交場であり、頼山陽(らいさんよう)などの文人墨客も数多く訪れ、詩文・版画などにも紹介されてきました。
坂本龍馬がつけた刀傷の跡が床柱に残る「竜の間」や、タイル貼りの床に和風の格天井、中国の様式を取り入れた窓がある和洋折衷の日本初の洋間「春雨の間」、勝海舟が愛した日本庭園も一望できる「月の間」など、今なお当時の姿を残しています。
また資料館「集古館」が併設されており、なかにし礼原作『長崎ぶらぶら節』で有名になった名妓・愛八(あいはち)直筆の歌本や写真、坂本龍馬直筆の書など貴重な資料を間近に見ることができます。
先人たちが過ごした空間で、元禄時代に造られた美しい庭園を見ながら、長崎の伝統料理「卓袱料理(しっぽくりょうり)」を是非楽しんでください。