近年「うさぎの島」として話題の大久野島は、広島県竹原市の瀬戸内海に浮かぶ小さな島です。大久野島といえばうさぎ。ですが、大久野島は別名「地図から消された島」とも言われるのはご存知でしょうか。第二次世界大戦にまつわる大切な歴史もあり、その遺跡が残されています。
本記事では「うさぎの島」として、そして「地図から消された島」としての大久野島、両方の見どころをご紹介します!
目次
2つの別名を持つ「大久野島」とは?
大久野島は広島県竹原市の忠海港からフェリーで行くことのできる、周囲約4kmの小さな島です。
最近では「うさぎの島」として話題になっているのでご存知の方も多いかと思います。新型コロナウイルスの流行のため観光客が減少し、それにともなうエサ不足のためうさぎの数は激減しました。しかし現在では少しずつ回復してきています。
また、大久野島は「地図から消された島」とも呼ばれています。これは第二次世界大戦中に毒ガス製造を行っていたという過去があり、当時国家機密として地図から消されていたことに由来します。島内にはその歴史を学ぶことができる遺跡が点々と残されています。
大久野島のうさぎってこんな感じ!
まずは大久野島のうさぎの特徴をご紹介
まずは、人懐っこさ。人が近づいても逃げませんし、お腹が空いていたらむしろ近づいてきます。フェリーから降りて近くの広場に行くと、すぐにうさぎの姿が見えますよ。休暇村大久野島方面へ歩くとたくさんうさぎがいるので、写真を撮ったりエサをあげたりしてうさぎと触れ合いましょう。もちろん、反対方向、島の北側の山道でもたくさんのうさぎと出会えます。
次に、朝方の活発さ。うさぎは普通夜行性ですが、大久野島のうさぎは朝方活発に活動します。理由は、夜間は観光客からエサをもらえず、朝方最もお腹を空かせているから。早朝外を出歩いていると勢いよくうさぎが走ってきます!待ってました!とばかりにエサとともに迎えてあげましょう。ただ、あまりの勢いにちょっと怖いと感じる人もいるかもしれないのでご注意くださいね。
続いて大久野島のうさぎに関する豆知識をちょこっとご紹介
大久野島のうさぎはワーレン(巣穴)を掘って生活するため、その生態から「アナウサギ」と呼ばれます。ワーレンは木の根元など人目につきにくいところにあります。休暇村大久野島近くの傾斜にはとても大きなワーレンがあります。こちらは比較的人目につきやすい開けたところにあるのでわかりやすいです。ちなみに子うさぎはワーレンの近くにいますよ。ぜひ探してみてください。
ところで、大久野島のうさぎの天敵は何だと思いますか?正解はカラスです。うさぎが食べられることはないですが、耳をかじる、目を取るなどといったいたずらをされます。特に子ウサギが狙われます。島内にはイノシシもいますが、イノシシは母数が少なくエサに困らないため、うさぎを狙う必要がないのです。
そもそも大久野島のうさぎがこれほどまでに繁殖した理由をご存知ですか?もともとは小学校から8羽のうさぎが寄付され、それが繁殖したと言われています。うさぎは年2回、一度に約5羽出産するので年間約10羽出産することになります。ものすごい繁殖力ですよね。野生なのですべてが生き延びることはできませんが、半数ほどは生き延びると考えられています。
大久野島に来たなら外せないフォトスポット4選!
次に、大久野島に来たなら外せないフォトスポットをご紹介します!
定番!うさ耳集音器
こちらはご存知の方が多いのではないでしょうか。大久野島毒ガス資料館近くの海辺にあります。記念撮影ができるようにスマートフォンを置く台がありますよ。このうさぎの頭の部分、実は回転するのです!正面からの撮影はもちろん、後ろ姿での撮影も可愛くておすすめです!
到着早々のフォトスポット!第二桟橋
第二桟橋は忠海港からのフェリーで到着する桟橋です。真っ赤な桟橋は遠くから見るとまるでうさぎのよう。海をバックに撮影すると写真映え間違いなしです!
発電所跡近くのトンネルは隠れフォトスポット
第二桟橋から北に向かって歩くと発電所跡があります。その手前にトンネルがあり、ここがフォトスポットです。写真を撮っても、これ、写真映えする?となんとも微妙な気持ちになるかもしれません。しかし、トンネルの先の景色以外は真っ黒になるように撮影してみてください。一気に、なるほど隠れフォトスポットだ!と思える写真になるはずです。トンネルの中にうさぎが映り込んでくれたら最高!
「大久野島灯台」の写真映えする画角、探してみてください!
全国各地にある灯台の、海と空、緑のコントラストがきれいな写真をよく見かけます。大久野島にも灯台があり、うまく撮ればいいフォトスポットですよね。残念ながら灯台の近くは立ち入り禁止なので、下から見上げるような写真は撮れないのです。望遠レンズがあれば海水浴場あたりからいい写真が撮れるかも?ぜひ訪れて、写真撮影に挑戦してみてください!
大久野島には知っておくべき歴史があります
ここからは大久野島の忘れてはならない歴史、毒ガスに関するスポットをご紹介します。
大切な歴史を学びに。大久野島毒ガス資料館
大久野島毒ガス資料館は、第二桟橋から休暇村大久野島方面へ歩いて10分ほどのところにあります。館内はそれほど広くなく、長時間滞在しなくても大久野島の毒ガス製造の歴史を学ぶことができますので、ぜひ立ち寄ってみてください。
館内には、毒ガス工場で作られた唯一戦争と無関係の製品であるサイローム(殺虫殺鼠剤)や、防毒マスク、液体毒ガス製造装置、作業服などの展示があります。その他、日本国内の遺棄毒ガス問題、被害者・後遺症についてなど戦後の問題についても展示があります。
また、屋外にも毒ガス製造器具の展示があるので、大久野島毒ガス資料館に入館しなくても毒ガスの歴史に触れることができます。ぜひ少しでも大久野島の歴史に触れてみてください。
毒ガス製造従事者の心のよりどころであった「大久野島神社」
大久野島神社は大久野島毒ガス資料館近くの海辺にあります。こちらの神社は神様がまつられているわけではなく、多くの人が亡くなるような過酷な環境にいる作業員の心のよりどころとしてつくられました。実際にこの神社のおかげで多くの人の心が救われたという記録があるそうです。休暇村大久野島では大久野島神社の御朱印を300円で販売しており、神社の維持費に充てています。
多くの方からの千羽鶴が奉納される、大久野島毒ガス障害死没者慰霊碑
また、大久野島神社の近くには大久野島の毒ガス製造関係で亡くなった方の慰霊碑があります。防毒服が十分でないことによる被毒や、作業中の事故のため多くの人が亡くなりました。
慰霊碑の横には千羽鶴が供えられています。これらは主に修学旅行生からのものです。観光客も1羽から受け付けてもらえるので、休暇村大久野島のスタッフに預けてください。1000羽たまったら「観光客一同」として供えてもらえます。
癒しと学びで満足度の高い旅行を!
大久野島のうさぎ、歴史について興味を持っていただけたでしょうか?つい可愛いうさぎにばかり目がいってしまいますが、歴史に目を向けると深く考えさせられるものがありますね。決して明るい歴史ではないですが、学んで帰るのと知らずに帰るのとでは旅行の満足度は全然違うはず。大久野島への旅行を計画する際、少しでもこの記事を思い出してもらえたら嬉しいです。
竹原市在住です。幅広いスポットをご紹介したいと思っています。わかりやすく読みやすい文章を心がけています。城めぐりが好きです。