瀬戸内の中で唯一、離島だけで繋がっている『ゆめしま海道』。愛媛県東北部にある「ゆめしま海道」は、愛媛県越智郡上島町に属する『弓削島』・『佐島』・『生名島』・『岩城島』の主要な4島からなります。その中で最も小さな佐島は、周囲9.8キロメートルと、徒歩で島内を移動できてしまうくらいのサイズ感。小さくとも個性的な島々には、信号も無いため、サイクリストさんにもオススメです。
「ゆめしま海道」ぐるり旅(後編)では、歴史と自然の『弓削島』と美しいビーチの『佐島』をぐるりと巡ってみましょう!
目次
ゆめしま海道のある弓削島に渡ろう!
まず、ゆめしま海道のある4島へ行くために、3~7分間の船旅を楽しんで!生口島もしくは因島から出るフェリーや商船に乗って、岩城島・生名島・弓削島のどこかへ渡ってください。※商船は車の乗船が不可なので、お車で移動の方はご注意を。
今治方面から車で移動の際は、因島の家老渡港~弓削島の上弓削港を結ぶ家老渡フェリーががオススメ。また、今治港から弓削島の弓削港まで、芸予汽船の快速船が出ています。快速船は車の乗船が不可ですが、徒歩やサイクリストさんの場合は、60分の船旅で一気に弓削島まで渡れて便利!
歴史と自然の『弓削島(ゆげじま)』
塩の浜「馬立の鼻」
中世は「塩の荘園」と呼ばれ、塩の名産地だった弓削島。その遺跡は島の至るところに残っています。この美しい砂浜は、島の最北にある『馬立の鼻』。かつて、この周辺では「大田林の塩浜」と呼ばれる、揚浜式塩田が栄えていたそうで、弓削島壮遺跡として国指定史跡に指定されています。。
古代の製法で作られた藻塩の「弓削塩」は、弓削島の特産品。藻を煮こんで作るため、ミネラルたっぷりで口当たりもまろやか。リピーターの多い逸品です。お土産物屋さんや道の駅などで購入することができます。
防波堤アート「天の花」
北端の海岸沿いには、美しく咲いた花の防波堤アートが。こちらは日本画家の日月美輪さんによる、『防波堤アート「天の花」』です。
作品のテーマは『虹』。日々、頑張って一日を送っている人たちに、空に架かった虹の見た時のような気持になってもらおうと描かれた作品だそうで、観る人の気持ちを清々しくさせてくれます。
大森神社と金毘羅神社
鳥居の向こうに海が見えることで人気の『大森神社』は、天児屋根命(あめのこやねのみこと)をお祀りした神社。占いや祭り、言葉を司る神様です。自らの発する言葉は、他人だけでなく自分自身にも影響が及ぶ可能性のある大事なもの。両手いっぱいの優しい言葉で、心と体を満たしたいですね。隣のお社は、海の安全を司る『金毘羅神社』です。ゆめしま海道への移動には海を渡る必要があるので、旅の安全を願い手を合わせましょう。
高浜八幡神社と高浜海岸
創祀950年以上の歴史がある、海沿いの神社『高浜八幡神社』。弓削島壮遺跡として国指定史跡に指定されています。松の木のトンネルのような参道を抜けると、こじんまりとしたお社が。鳥居越しに見える『高浜海岸』は、町内でも有数の美しさを誇る海岸。特に、鳥居越しに夕日が傾いていく様子は、時間を忘れさせてくれる美しさです。海岸に設置されているベンチにそっと腰掛け、海をぼーっと眺めながら船を見送るのも、心癒されるひととき。
弓削島のお土産物
お土産を探すなら、シーサイドモールの『おいでんさい』、『しまでcafe』、『ログハウス弓削』に行ってみましょう。おいでんさいとしまでcafeでは、『摘み菜クッキー』をはじめとした、島のお母さんたちが愛情をこめて作った品々が並んでいます。弓削島でしか手に入らない・味わえない逸品を探すなら、こちらがオススメ。
ログハウス弓削では、ズラリと並ぶ『海苔』の陳列に驚くはず。上島町は海苔の産地で、しっかりとした厚みのある、パリッとしていて美味しい海苔が作られています。海苔は軽く、小分けパックもあるのでお土産としてもオススメです。
松原海水浴場
環境省が選定している日本の快水浴場百選に、愛媛県で唯一選ばれている『松原海水浴場』。暮らしを守る防風林として、昔から松が植えられていました。白砂青松の景勝地です。
弓削神社
鳥居越しに、日の出を拝みたい『弓削神社』。こちらの鳥居は参道ではなく、海に面した真東に向いて建っているので、朝陽が鳥居の中を通り社殿に差し込む神秘的な構造をしています。鳥居からお社を見て、左にあるまるまるとした大きな岩は、なんと男性のシンボル。陰陽の石と呼ばれ、島民たちから大事にされています。
エコフィールド松原 ファミリーキャンプサイト
松原海水浴場に隣接する、弓削島を代表するキャンプ場の一つ『エコフィールド松原 ファミリーキャンプサイト』。美しい環境の価値や、大切さを理解することで、環境保全や持続に繋げることを目的としています。2日前までの完全予約制で、利用対象はご家族のみ。一日5組限定で、ゆったりとした広さのサイトです。きれいに整備されていますよ。
美しいビーチの『佐島』
長磯の浜
佐島の西側・南側の海岸は遮蔽物が少なく、開けた海が広がっているため開放感も抜群。『長磯の浜』は、白砂が美しく、そしてとても静か。時間が経つのを忘れる、本当に美しい浜辺です。
Uターンブルーライン
サイクリストさんのために整備された、島々を繋いでいる幅20cmのブルーライン。佐島南端の長磯の浜に導く、ブルーラインの先にあるのは、なんと『Uターンブルーライン』。ここまで来て、Uターン?とビックリしてしまうかもしれませんね。ここは、佐島では人気の撮影スポット。ゆったりとした時間の流れる長磯の浜を見て癒されたら、来た道を戻りましょう。
西方寺
佐島港からすぐそこにある『西方寺』。山門では、遠目からでもすぐに確認できてしまう『太い眉毛』をもつ仁王像がお出迎え。お寺の総代が「強く見えるように!」と
仁王像の眉毛を太くメイクしたんだそうです。ちょっぴりラブリーな見た目に、観光客の絶好のフォトスポットになっています。
佐島しまのひろば
島民による無人の産直販売所『佐島しまのひろば』。自分の畑で採れた新鮮野菜や果物、手芸品などが陳列されています。無人なので、それぞれのベンダーの料金BOXに小銭をチャリンを入れて購入するシステム。とても立派な野菜がお値打ち価格で並んでいますよ。100円玉をたっぷり用意して行きましょう。駐車場もあります。
古民家ゲストハウス『汐見の家』
一度訪れると、ファンになっちゃう!そんな利用者が続出している、古民家ゲストハウス『汐見の家』。掘りごたつに縁側、薪で炊く五右衛門風呂や手押しポンプの井戸…と、現代ではなかなかできない経験も人気です。余計なモノが無く、静かな空間がそこにあります。古民家ならではの不便さも、楽しんでみて。
汐見の家ならではの体験『シェアご飯』もオススメ。管理人さんや居合わせた旅人が一緒に作ったご飯を、みんなで一緒にいただきます。その瞬間はまるで、おばあちゃんの家に帰ってきた時のような懐かしさ。人のあたたかさと優しさに包まれ、心が落ち着く、ちょっぴり珍しいタイプのお宿です。
ゆめしま海道の『弓削島』と『佐島』
いかがでしたか?
歴史ある神社や自然の見どころが多い弓削島と、ゆめしま海道の中でいちばん小さいながらも、国内では珍しい見どころのある佐島。どちらの島も、自然と触れ合ったり、自然の豊かな場所に身を置くのが心地よい方には、格別の癒しスポットになるはず。
筆者の独断と偏見による、一度は訪れてみて欲しいオススメの穴場スポットは『長磯の浜』。ぜひビーチに降りて、散策してみて欲しいですね。サラサラときらめく白い砂浜から望む、遮るもののない、広くて青い海と青い空。言葉では言い表すことができない開放感と景観が、そこにはありました。
船で渡らないと行くことができない、4島が橋で繋がっている『ゆめしま海道』の島々には、ここでしか味わえない魅力がギュッと詰まっています。まだ読まれていない方は、『ぐるり旅前編』の岩城島・生名島もお見逃しなく。『ゆめしま海道グルメ編』も、合わせてどうぞ。弓削島・佐島の旅と合わせて巡り、ゆめしま海道マスターを目指しましょう!
バイクや車で国内をフラフラとしている、愛媛県松山市在住の放浪カメラマン&ライター。主にフィットネス・介護・レジャー・経済関連の記事を書くことが多い。温泉と洞窟巡りが好き。これまでに滋賀と鹿児島以外は訪れているので、寿命が尽きる前に全国制覇したいところ。趣味はカラオケと筋トレ。